特別講演レポート 『春を満喫しよう!~気分爽快・思考をサポート』

春の日差しを感じられる穏やかな2月28日(土)群馬県高崎市のニューサンピア2F赤城の間にて、『春を満喫しよう!~気分爽快・思考をサポート』につい ての特別講演が、日油株式会社から主任研究員の大久保剛先生とNPO法人機能性素材研究会から病院薬剤師根津先生をお招きして開催されました。

前半には日油株式会社の講演が行われましたが、それに先駆けて同社食品事業部佐原係長より会社の案内がありました。同社は創立が昭和12年、従業員数も約4,000名、私達の身近な食品の 担い手となっている企業であるとの事でした。

続けて「ホスファチジルセリン・PSの脳の栄養素としての効果について」と題して、同社食品事業部主任研究員・大久保剛先生の講演が行われました。

ホスファチジルセリン(PS)とは

PSは主体膜を構成するリン脂質の一種で細胞膜を構成する重要な成分で、神経細胞にとっては欠かせない成分です。また加齢による認機能の低下や記憶障害・アルツハイマー症および老人性痴呆症など、今まで脳の機能改善について数多くの研究報告がなされています。

日油株式会社 大久保先生
日油株式会社 大久保先生

米国での動向

アメリカにおいては、大豆PSの販売数量が1998年に3倍にも増加したいへん注目されています。その購入動機として「記憶、脳機能の改善、高齢化への対処のため」が大多数を占めており、「スポーツマンが運動ストレスへの耐性を高めるため」、「注意力欠如の子供に対して」がそれに続いています。

また2003年5月にはFDAから、「ホスファチジルセリンと認知機能不全、痴呆のリスクの軽減」という、限定的健康強調表示の承認も受けました。

このような動きがあることからも、機能性食品の扱いについては米国の方が一歩進んでいると言えそうです。

日本も米国に倣って機能性表示の改正へ?(アベノミクスの成長戦略第三の矢)

機能性表示制度が2015年4月から開始されます。サプリメント素材の機能性を示すには、対象成分の有効性に関して、「健常人による査読付きヒト試験に関する論文」から検証する必要があるとされています。日油みおいては「認知機能改善効果」「抗ストレス効果」の機能について提案するとの紹介がありました。

今後認知症患者が5人に1人になると言われている現代において、PS摂取が認知症予防になり、ストレスを緩和して、健康を維持していくのに必要不可欠な物であると改めて認識しました。

後半は「春・元気・健康!」と題して、NPO法人機能性素材研究会より病院薬剤師根津良幸先生の講演でした。特に国民病と言われているこの時期の花粉症の対策や頻尿対策、そして脳梗塞・心筋梗塞対策を取り上げた内容でした。

花粉症とは

花粉症とはⅠ型アレルギーに分類される疾患の一つ。そのお話しの中で、IGE抗体、マスト細胞、ヒスタミンの説明がされました。月見草のγリノレン酸からのプロスタグランデンE1が、Tリンパ球の正常化からアレルギー、炎症を抑えるなど、データを元にした丁寧な説明がされました。また花粉症で医師に一番人気のある薬「アレグラ」の副作用についても解説があり、その副作用の多さに驚きました。

季節の変わり目、怖い脳梗塞・心筋梗塞・動脈硬化症

死亡原因の第3位は脳卒中(脳血管障害)です。その原因は高血圧、高脂血症、糖尿病、不整脈、喫煙などで、予防するには動脈硬化を抑えることが大切になります。

機能性素材である紅麹の主成分「モナコリンK」には、肝臓でコレステロールの生成を抑える薬剤のスタチン系と同様の働きがあります。通常、スタチン系の薬剤(クレストール・リピトールなど)には、横紋筋融解症という重大な副作用が認められているのに対し、この紅麹には副作用がまったくありません。ですので、長期間の摂取には薬剤よりも優位性があるといえます。

同様に、機能性素材の「アスタキサンチン」には活性酸素を除去するという大きな効果があり、紅麹とともに脳卒中を予防する上でとても有効性がある素材であるといえます。

排尿障害と過活動膀胱

排尿障害の原因のひとつに過活動膀胱があります。膀胱筋の拡張・収縮活動を良くさせることで、過活動膀胱の改善につながります。そのために注目されている機能性素材がイソサミジンです。夜何度もトイレに起きて眠れない、尿漏れ、日中もトイレが近いなどの症状が改善できています。

また副作用がある薬剤に頼らないようにするためにも、このような効果のある機能性食品を摂取することが重要になってきます。

薬物療法には問題点(副作用、飲み合わせ、長期投与など)があり、治療医学から予防医学の観点で機能性食品等の摂取、生活習慣の改善が必要だと思いました。いよいよこれからが花粉症本番!GLA等を摂取することにより「春を満喫していける」講演となりました。

(文: 芳賀 陽子)